新月前夜→満月前夜
月のサイクルでわたしたちは生きている
満ちては欠け
それは見かけ上のことだけれど
ネオンも何もない時代の地上を
月はどれだけ強い光で照らし
それは夜道を往く人にとって
どれだけ心強かっただろうか
わたしの住む小さな町を
今宵 十四夜の月が照らす
新月前夜 二週間前の忘れ物が
満月前夜 わたしの手元へと届いた
それは手紙のようでもあり
どこへでもいける魔法の靴のようでもあり
七夕の短冊のようでもある
ささやかな願いが結実して
かたちとなり 手元にやってきた
これから時に 光りなき道を進むかもしれない
わたしの 冷えて孤独な心の底を
きっと照らし あたためてくれるだろう
帰路の快晴の早春の日は風が強かった
どこへ向かって吹く?
わたしはどこへ向かっている?
揺さぶられる枝の影に己をかさね
川を渡ってゆく列車の車窓から
その様を眺めながら
どこへでも行けるし
どんな願いでも叶う
世界は予兆に満ちていて
それらを正しく受信できるのであれば
嵐にうちしおれる日ですら
その情景はうつくしく輝く
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