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2008年9月

ジェットコースター


080920_12220001

半日前に考えていたことが
目の前の笑顔でもう崩れる
だれがかけがえのないひとで
どれが不要なメールで
どの笑顔が純度100%で
どのやさしさがまがいものなのか

わからない わからない
思いはうつろってまた動く

じゃあわたしは?
さっきの混ぜ物だらけの
おもわせぶりな雑談の真意は?
と問われたら

問われたら
ひとこともないのでは ないのか

一週間前の空
あのとき確かに思われたこと
ずっと忘れないと決めたこと
絶対に信じられると感じたこと

出来事のスピードに
知らぬ間に乗せられた 乗っていた
ジェットコースターの動き
まるでトレースできないまま
今日の日も終り あの空は遠ざかる

それでも生きていて
誰かの面影を抱いているから
ひとりじゃなくって
すこし退屈で
自分の薄情さに倦みながら
それでも 注がれた視線の温度を
愛情を べつの心の部位で信じてもいる

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超える


ふりかえっても 誰がいるわけでもない
過去のわたし は 記憶であって実体ではない
思念の中の記憶 そして 皮膚の 身体の記憶

そのまま留めたい面影も情景も
フリーズドライにしなくても
きっと忘れないだろう

わたしのどこかにはひそんでいる
共生虫のようなそれら

とかしてゆるめてながれて
時折思い浮かべ 想起して
ささやかな生きる糧となり

力を得たなら
いまここ このときを超えて
越えて 目の前の事象を
こえて

現れる景色を 振返った先に吹く風の色を
たどりついた場所で
出会うであろう笑顔のほうへ

超える

*ということで ちょこっと旅は日曜日の夜まで
気が早いですが みなさまどうぞ よい週末を!

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ここは緑の星


うっそうとした森の影
水が滴り 鳥たちが鳴き
見上げた空はすこし雨粒を予感させる 曇天

右足の古傷が重たくなり
眠りを誘う空気

よくわからない とおもいこんでいたひとの
意識をトレースする
すこしだけ同期して
なにかがわたしのなかに流れ込む

体内の水分が記憶しているの?

空気の中にひそむもの
植物の記憶
ゆるりと抱きとめるようにのびる枝

香りの記憶
うつろう日差しの下の樹影

ここは緑の星
誰もいなくなったあとで
縦横に暴力的にのびていくであろう
蔓 枝葉
残虐なまでに鮮やかに咲く花

いまはまだひそやかに
息をひそめているだけなのだ

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触れる

触れればわかるよ
言葉なんかなくたってわかるよ
きょうひとに言われて
そうだ と思った

土曜の午後 道場にやってくる
こどものほっぺたをつねったり
肩に手をおいたり
あれやらこれやら

わたしのことは忘れていいから
ひとから大事にされた記憶
守られてた時期があったということ
それだけを 憶えていてくれれば

悲しみの淵に沈む そんなとき
いつかきっと きみのこころを照らすから
あたたかな手の感触だけを
身体まるごとで 憶えていてさえくれれば

会っていないとき
メールを送ってみたり
想念 元気かな どうしてるかな と思う
そして 余計なことも考える
真意とか いったいなにしてるんだろう とか

暴走する思念 飛び交う情報
急くこころ
触れた手の感触にたしなめられるように
ほっとする 安心して 目をみつめる

触れられた最初の記憶
触れた最初の記憶
ふりかえった視線の先で
やさしいひとがこっちをみつめている
まるで触れられたかと思うほど
温度のあるまなざしで

わたしは視線になにを託せるだろうか と
すこし案じるように首をかしげてみつめかえす
たりないものはなにもない
あわてることもなにもない
天地のあいだにあって
そのとき そうでしかありえなかった 
ということだけが
起こるのだろう

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Walk,don't run


うまくいかないとき というのは
ひとはかならず慌てているのだ と
なにかで読んだ

だからゆっくり
きっと息もつめて肩肘はって
急いているから

急いているひとが厭わしいか
と いったら そんなことはない
額に汗して必死なひとはうつくしい

そんな自分もちょっとけなげだ

昨日持ちあぐねた気持ちをどうしたものか と
ラッピングもそこそこで投げつけかけて
我にかえって そそくさと眠った

一夜明けて見た心象はおだやかであたたかで
急いて投げてしまわなくてよかった と
自己満足の手榴弾と化すかもしれなかった

ダンスのステップが静かにシンクロして揃うように
最高の波を待つように しばし待て と
もう充分待ったとでも言いたげな
こころのなかの幾人かのわたし
深呼吸して 走るのをやめて 歩いてごらん と

それですり抜けていくならそれもそれ
それでも吹き抜けた風の頬の感触はわすれない

生来のせっかちさとの葛藤は
昨日のことになってしまえば笑い話だ
けなげなら いいってもんでもないんだよ ね

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コップの水の量


まるまる夏の間 放置
これでは生存証明にもなりませぬ
でも どうしても
なんにも書きたくなかった
宿題をごまかすこどもを笑えない 夏

ことばが蒸発してしまうような
日差しにそのまま灼かれて消えてしまう
そんな幻を午後のアスファルトの上で みる

夏を見送るように
宵の秋祭り 行き過ぎるこどもの御神輿
暑さの名残 惜しむように素足で歩く あとすこしだけ

コップの中の半分の水
まだ半分ある?
もう半分しかない?

今年なんてあと4ヶ月を切ってるよ?
まだ3ヶ月以上もあるよ?

会えるか会えないかわからないひと
会えたらうれしい?
会えなかったらかなしい?

目の前で息をしている
その手はあたたかく
錠剤を飲み下すときに喉が動く気配がした

生きている
会えても会えなくても
水の量の多価はどうでも
話がかみあわなくても

目の前の赤いコップの中は
さっき飲み干したからからっぽ
外側の水滴だけが 空気をうるおして
今日の出来事の記憶がぼんやりと
脳裏をよぎっていく

ひとつの事象に複数の思惑
割り切れない数字のようでもあり
えいやっと勘で切り分けてうまくいった
ホールのケーキのようでもある

息をして あたたかで 生きているなら
それがすべて
それ以上を望まない なんて
格好いいことはまだいえないけれど

明日またコップに水を注いで飲み下し
さて なにを夢見よう どこに行こう

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