2009年7月 2日 (木)

2009年、7月


夏越祓もおわって
旧暦だとまだ だけど
夏がそろそろ やってきます

肩こってるけど
景気微妙(どころじゃないか)だけど
いい季節
いままでも これからも
夏の魔法にかかって
灼熱の日差しの下で 夢を見よう

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2009年5月24日 (日)

戒壇巡りのように片手で壁に
そっと触れて よろよろと歩む
ひとりでは歩ききれないかと
思えるほどの深い闇の中を

または 壁は燦々と日の照らす
すでに朽ちた城址のように
そこにあるので ぐるりと巡らされた
灰色の表面に手を触れ
壁の記憶の鼓動を聴く

すべては最初から決まっていたことのようでもあり
すべてはあらかじめ損なわれているようでもあり
時は刻々と失われていくようでもあり
経る月日はそこかしこに留まっているようでもある

笑顔が深い謎を呼び覚ますけれど
それを解こうとするのはもう止めにして
壁の歪み 壁の柔らかな感触を想起し
壁の語りかけてくる静かな声に耳をすませる

わたしのこころに張り巡らされた壁
あなたへ向かう意志を挫くような
あなたのこころの壁

それらを超えたいと願い
手を伸ばし 星を見つめ 夜を走る

超えた先に 何もなくても
求めた軌跡は点々と
モザイクのように残るから
こぼれた記憶をつないで

わたしの生きた よすがとしよう

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2009年4月 7日 (火)

いつかどこかで

会いましょう
月の光の下
それとも散りゆく桜の花弁の下

それとも
それとも

夏の灼けつく日差しのもと
降りしきる雪の夜

いつかどこかで

あなたに出会い ゆきすぎて
もういちど会いたいと 思った

その心の動き
そのときの景色
そのときの 音 温度

あなたの伏せた瞼 睫毛 その先まで

恩寵がありますように

いつかどこかで
ゆきすぎて
もう会えない

それでも

いつかどこかで
遠い何処か 彼岸か 此岸か

いつかどこかで
あなたの鼓動が静かに響く
この宵の淵

今生の 際で

思うのはあなたの面影
そして朽ちゆく わたしの生

いつかどこかで
トレースできない軌道
離れられない 線

いつかどこかで
あなたが産声をあげて
わたしが産まれ落ちて
時を経て

なぜあのとき会ったのだろう

いつかどこかで
約束のない明日
必ず会える ある刹那

いつかどこかで
わたしはあなたを待とう
会えなくても 会えても
どちらでも いかようにも

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2009年2月26日 (木)

温度


満面の笑みで部屋に入ってくるきみは
まるであたたかな春風のようだし
思いがけない問いにうろたえて
目を伏せるときのきみは
ひんやりと指先をかじかませる
水槽の底のような つめたさを まとっている

ひとりのひとに いくつもの相があり
色があり 温度があり
そのことは いつもわたしを 驚かせ
そして魅了する

誰よりも未知で 誰よりも懐かしい
そのあたたかさも そのつめたさも
すべて

損なわれませんように と願いながら
見えない月へ 願いをかける

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2009年2月 8日 (日)

新月前夜→満月前夜

月のサイクルでわたしたちは生きている
満ちては欠け
それは見かけ上のことだけれど
ネオンも何もない時代の地上を
月はどれだけ強い光で照らし
それは夜道を往く人にとって
どれだけ心強かっただろうか

わたしの住む小さな町を
今宵 十四夜の月が照らす

新月前夜 二週間前の忘れ物が
満月前夜 わたしの手元へと届いた
それは手紙のようでもあり
どこへでもいける魔法の靴のようでもあり
七夕の短冊のようでもある

ささやかな願いが結実して
かたちとなり 手元にやってきた
これから時に 光りなき道を進むかもしれない
わたしの 冷えて孤独な心の底を
きっと照らし あたためてくれるだろう

帰路の快晴の早春の日は風が強かった

どこへ向かって吹く?
わたしはどこへ向かっている?
揺さぶられる枝の影に己をかさね
川を渡ってゆく列車の車窓から
その様を眺めながら

どこへでも行けるし
どんな願いでも叶う
世界は予兆に満ちていて
それらを正しく受信できるのであれば
嵐にうちしおれる日ですら
その情景はうつくしく輝く

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2009年1月 9日 (金)

Hush-A-Bye

雨の夜に思うこと
遠近の空に雨が降り
冷たい雨が降り
帰路のあなたの頬を濡らす

その手が冷えきる前に
睫毛が凍る前に
あたたかな場所にたどり着きますように
急に降られたなら
雨宿りのその場所が底冷えしませんように

家にたどり着いたなら
あたたかなミルクをあげたい
あたたかな毛布をあげたい
そして
これはあげることができないけれど
せめて しばしのよい夢を

凍えるような空気の中を急いだ
あなたの頰が赤く染まる
その跡はもうないけれど
寝息をたてはじめたら そっと
頬に触れよう

やすらかに 朝まで やすらかに
カーテン越しの日差しが
あなたの目を覚ますまで

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2008年12月30日 (火)

2009年の夢


一日切り替わっただけで
もう新しい年になる

じわじわっとひろがる
来年に向けての 夢

泣き顔すらいとおしいように
挫け 叶わない夢ですら
心に抱くことができたら

それはとてもさいわいなこと

あなたに わたしに
あたらしい うつくしい一年を

そしてゆきすぎていくこの一年の
背中に向かって さよならを

いくつかの夢をみて
またあたらしい年も
あるいていくのだな

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2008年12月17日 (水)

skip


飛ばして進め
読みあぐねたページ
たいくつなメール
的外れな好意

自由に進め
立てた予定のことや
ふと思い浮かんだ面影や
TO DOリストの行方も
だいじだけど

いまこのとき は いましか ないから

ひとのことばを代弁するひまがあるなら
蚕がその糸を紡ぐように
あなたはあなたのことばを
そして
わたしはわたしのことばを

見てもいないTVを消して
あてどないネットサーフィンの波から降りて

skip

外は雨だけど
コートの襟を立てて 足早に
水たまりを踊るようによけて
進め

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2008年12月14日 (日)

世が世なら、雪


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東京には冬のつめたい雨が降り
ふっとやんだ

見上げた空には十六夜の月
世が世なら このつめたい雨は きっと雪

きみの長い睫毛の上に
「My Favorite Things」の歌詞のように
降り積もったら
どんなに美しかっただろう

さよなら

凍てつく冬の空
赤く光る月
硬度を失いめり込むように
ぬめらかなアスファルト
倒れ込むような体感の中で きみを思い出す

さよなら

実際には告げられなかった別れの言葉
ほんとうは精緻に記憶していない その面影

さよなら

最後に会った日
確かめるすべもない
その日は快晴の冬の空
つめたい風の中
改札の前で わたしたちは別れ
再び会うことはなく
月日だけが流れ

さようなら

最後にその五文字を告げる機会を逸したことで
きみは永遠にわたしの中で生きている

最初に会ったのは初夏
次に会ったのは秋のはじめ
最後に会ったのは快晴の冬

雨も 雪すらも 一度も降ってはいない

きみをおもう 今宵は
雨上がりの 冬の空
月が光る冬の空

きみ去りてのち
東京はあたたかだよ
コートがなくっても過ごせそうだよ
きみがふれた トグルのあるダッフルコートは
とうに捨ててしまった

こんな夜に 雨が降るたびにおもう
世が世なら これは雪
この地平に降り積もり
別の時間軸では
きみとわたしは電話でよしなしごとを語り合ったり
夜半のカフェでココアを飲んだり
いくらか楽しく過ごしていたかもしれないね

きみの睫毛に降り積もる雪を幻視する
きみとする会話はどんなだったろう
きみはどんな風に どんな声で 笑っただろう

くれた手紙までなくしてしまった
記憶を持ち続けていなくてもかまわないよ と
言わんばかりに かき消えるように
わたしよりも何歩も先に 違う世界へ

きみが見ていた景色をおもう
そこにもし冬のつめたい雨が降っていたなら
それは きっと 世が世なら、雪
わたしたちの上に降り積もる
つめたい頬 つめたい手のひら

つめたくってごめんね

答えられなかったけれど
そんなことは気にしないで
そんなものいくらでも この手で あたためるから

わたしたちの上に 降り続けるのは
世が世なら、雪
真白な雪
すべてをかき消して それでも降り続ける

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2008年11月16日 (日)

香りと感触

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あれこれ手にすりこんでみたり
香りをまとわせたりするのは
ほかでもない だれかのため あなたのため

ひとりきりの星にいたら
だれがそんなことなどするだろう

あたたかなスープを煮込むのも
ひとはりひとはり 毛糸を編み上げるのも
ほかでもない だれかのため あなたのため

うるおった手でわたしはあなたに触れましょう
なつかしいあの日のように
そしてまだ見ぬ結末の未来のために

あなたは気づくだろうか
わたしがひそませたメッセージに

あなたのやわらかな手に触れて
髪の匂いを感じ
わたしはなにかを思い出す
懐かしい未来を 過去の日々を

心の底が動くとき
笑みがこぼれ 涙がこぼれ
あたらしいストーリーが はじまる


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